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 黒澤明監督の「生きる」という映画を知っているだろうか?

 白黒映画なので見た人も少ないと思うが、昨年大ヒットした槇原敬之作詩作曲の「世界にひとつだけの花」を主題歌に添えたドラマ「僕の生きる道」は、この作品の現代版という事だった。

 「僕の生きる道」では、生徒の受験とコーラス大会、女教師との恋の中で一所懸命に生き抜く様を描いている。

 対してこの「生きる」という作品は、中間管理職の公務員が主人公。

 壮年を過ぎ、息子夫婦と同居しており、妻は既に他界。色恋沙汰もなく(かつての部下が家を訪ねて息子に勘違いされる事はあるが)あまりパッとしない内容。

 黒澤映画といえば「七人の侍」や、最近北野監督がリメイクして話題になった「座頭市」など、華のある映画が有名だけれど、この映画のように華もなく地味な描写の中に黒澤映画の真髄があるように見えた。


 主人公はただ毎日を過ごすような生活を続けていた。だが自らが死病に冒されてる事知り、茫然とする。

 やがて生きる目的として、児童公園の整備という目標に向かって邁進する日々。その真摯たる姿は心をうつものがあり、通夜の席(場面は急に変わる)での話題となる。

 彼は自らの命運を知って、その残りの人生を捧げたのだと全員の意見が一致した時、警官が主人公の落とし物だという帽子を届けに来る。

 その警察官は彼が死ぬ前、完成した児童公園のブランコにゆられ「ゴンドラの歌」を歌う主人公に会ったのだという。その顔は幸せに満ちていたと。


  いのち短し 恋せよ少女(おとめ)

  朱(あか)き唇 褪せぬ間に

  熱き血潮の 冷えぬ間に

  明日の月日は ないものを


 命短し、恋せよ乙女というフレーズは聞いた事がある方も多いと思う。

 だが歌を聞いた事のある人はあんまり居ないのではなかろうか。自分もこの映画を見て初めて聞いたのだけれど。(存在は知ってたけど、なにぶん古い曲だったので手に入れられず・・・だけど後日、母親が買った「なつかしの歌」に入ってたり^^;)


 この映画を見て、あなたも一所懸命「生きて」みませんか?