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sidewalkcafe blog

日々是好日

その前にサマリア人法を・・・

医療事故調査に第三者機関設置(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060823ik05.htm


正直言って「またか・・・」と思った
日本人というのは職人気質で、どうしてこうも「完璧」を求めたがるものなのだろう

医療事故が刑事裁判で裁かれるなんてのもナンセンスだ
彼らは「犯罪」を犯したのではなく「事故」を起こしたのだから


前にも書いたような気がするけど
アメリカには「良きサマリア人法」というのがあり
善意の医療行為で事故があったとしても、重大な過失が無い限り裁かれないのだ
これは起訴大国アメリカにおいてボランティア等による救急救命行為を促進しようという配慮による


現実に日本での心肺停止状態患者の社会復帰率がほぼ0%なのに対し
アメリカでは30%〜50%という、実に日本の30倍以上の値を示している
これは医療技術の差ではなく、市民による心肺蘇生実施率が高い他
日本では救急隊員以外が治療を行い失敗した場合、過失があったとして訴えられる可能性があるからだ
だから救急隊員到着まで誰も手をつけたがらない
結果心肺蘇生までの時間がかかり、患者が社会復帰できる迄の回復に差が出るのだろう


実際に、法律上医師しか使用してはいけないといわれる心肺蘇生装置を使用して書類送検された救急救命士がいる
患者は一時息を吹き返したが、後に死亡した
だが、蘇生装置を使用しなければ確実に死んでいただろう
医療に従事する人なら(しない人でも)命を助けたいと思うのは当たり前の行為だ
その善意を踏みにじられるなら、誰だって嫌になる


誰だった良い事をしたいと思ってる
子供は良い事をして親に誉められたいと思ってる
もし子供が良い事をしても、親に叱られてばっかりだったら
子供の心は必ず曲がる


飛行中の機内でドクターコールがかかる
「お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか」
ドラマで良く見る場面だ
だが医者は手をあげない
医療行為をして事故が起きた場合、重大な過失がなくても法廷に立たされる事を知っているから
ましてや飛行機の中、充分な医療施設もない
このような場所で満足のいく診療ができるとは思えない


しかし、やはり医者は見過ごしてはおけない
名乗り出て患者を診る事になる
それは医師の使命感でも良心の呵責でもない
診療治療の請求を拒んでは成らないと法律で決まっているからだ

医師法第19条 【医師の応召義務】

診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、
正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
	

正当な事由とは
(旧厚生省通達:昭和30年)

正当な事由がある場合とは、医師の不在または病気等により、
事実上診療が不可能な場合に限られるのであって、患者の再三
の求めにもかかわらず、単に疲労の程度をもって、診療を拒絶
することは、医師法第19条違反を構成する。
	

以前の医師法には、正当な事由なしに拒んだ場合には罰則規定が
あったそうですが、現在の医師法には、罰則規定はありません。 
<引用元>
http://www.md.shinshu-u.ac.jp/medicalethics/doctor/ishihou19.html

法律で医療行為を押し付けている割に救済措置はまったくなく
失敗すれば犯罪人になるというジレンマとプレッシャーの中
医者は医療活動に従事しなくてはならなくなる


全く失敗しない人間なんて居ない
そんなのは神様ぐらいだ
しかし世間はスーパードクターを欲している
漫画の神様、手塚治虫が生み出したスーパードクターブラックジャック
道ばたでも砂漠の中でも診療治療を行っていたが
功率99%、手術の神様と言われるブラックジャックでも、
実際に漫画の中で行われた医療行為の統計では成功率は7割程度なんだそうだ
3割の患者は助けられていないという事
これは人ならば仕方の無い事かもしれない



重責の中、医療に従事する人達は本当に大変だと思う
だから私は常々、医者や政治家、公務員等は世間一般より高い給料を貰って当たり前だと思っている
そうしないと優秀な人材が集まらないからだ
(学校の成績が良いと優秀な人材かという問題は別にして)
タダ同然でも、本当に人の役に立ちたいと思うのなら人材は集まるはずだとか
奉仕の精神も結構だが、それで大量の医者を確保するのは難しい
また理想が高い事と医療技術が高い事は別の問題である


明治維新の立役者、維新三傑西郷隆盛大久保利通がいる
明治の初期の政治家だが、彼らの死後、私財を整理した所
財産はほとんど残っていなかった(給料ほとんど貰ってなかった)
しかも大久保利通には、政府の赤字を補填する為に自分名義の借金まであった
他の政治家はたんまり貰ってたという話であるが
我々とこの英雄達を比べられても困る


一般に難しい仕事、誰もが嫌がる仕事は給料が高い傾向がある
政治家だって好き好んでなる人は少ないと思う
今だって高い給料がなければ、西郷隆盛以外はなってくれないだろう
なんせ総理大臣の仕事は忙しすぎて死ぬぐらいだし(小渕さん・・・南無)
薄給にしてしまうと、また我々は江戸と同じ300年かけて西郷隆盛を待つしか無くなる訳だから
高い給料を払って、2流3流でいいから真面目に仕事をしてくれる人を雇っているのだ


それでも辛くて挫ける事もあるだろう
そんな時に元気を取り戻してくれるのは
お客様の有権者の患者の、我々の感謝の気持ちだという
「ありがとう」の一言で彼らはまた辛い仕事を引き受けてくれるのだ



誰だって身内が亡くなれば無念だろう
その気持ちを何かにぶつけたいのは良くわかる
矛先を医療行為の当事者に向けたくなるのは、ごく自然な流れなのかもしれない
だけど、無念なのは医者も同じなのだ

医者だって人間だ、悲しみもすれば怒りもする
時には機械のように感情を押し殺す事も求められるかもしれないが
押さえる事はできても、無くす事はできないと思っている


医者は我々患者の命を預かっているとは言うけれど
命を預けているのは我々の方だという事を忘れてはいないだろうか
助からない命を預けてきて治せと言う、治らなかったら罪を問う
我々はクレーマーになってはいないだろうか?
たとえ助からないとわかっていても努力してくれる医者に
「ありがとう」と言える人間になりたい



今年の4月に良きサマリア人の法案が提出されたそうだ
しかし成立に至ったという話はまだ聞かない・・・
http://blog.medu.jp/2006/04/post_87.html



面白い例えみつけた

医療現場がレストランだったら

http://d.hatena.ne.jp/zaw/20060220#p1