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日々是好日

情報漏えい? 奈良大淀病院の妊娠婦転院先での死亡事例

転院断られ死亡の妊婦、詳細な診療情報がネットに流出(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070429i401.htm

 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、高崎実香さん(当時32歳)が出産時に脳内出血を起こし、19病院に転院受け入れを断られた後、死亡した問題で、高崎さんの診療経過など極めて詳細な個人情報がインターネット上に流出していることがわかった。

 情報は医師専用の掲示板に、関係者らしい人物が書き込んだとみられ、「転載して結構です」としていたため、同じ内容が、医師や弁護士など、かなりの数のブログに転載されている。

 遺族側の石川寛俊弁護士が28日、大阪市内で開かれた産科医療をめぐる市民団体のシンポジウムで明らかにした。石川弁護士は、個人情報保護条例に基づく対処を町に要請した。遺族は条例違反(秘密漏示)などでの刑事告訴も検討している。

 書き込みは、昨年10月に問題が報道された翌日から始まった。仮名で「ソース(情報源)が確実なきょう聞いた話」「この文章はカルテのコピーを見ながらまとめました」などとして、最終月経の日付から妊娠中の経過、8月7日に入院して意識不明になるまでの身体状況や検査値、会話など、カルテや看護記録とほぼ同じ内容を複数回に分けて克明に書き込んでいた。

 この中には、入院前の記録など、当時、遺族が入手していなかった内容や、医師の勤務状況など病院関係者しか知らない内容も含まれていた。

 石川弁護士は「主治医と家族のやりとりを近くで聞いていた人物としか思えない書き込みもある。許しがたい」と批判している。

 遺族は「あまりに個人的な内容で驚いた。患者の情報が断りもなく第三者に伝わるなら、診察室で何も言えない」と話している。

 大淀病院の横沢一二三事務局長は「高崎さんが入院した日に病院にいた職員を対象に聞き取りをした。全員が『情報を漏らしたことはない』と答えたので調査を終えたが、遺族の弁護士には伝えていない。掲示板の運営事業者への照会などは思いつかなかった。再度検討する」と話している。
(2007年4月29日3時6分 読売新聞)

今朝の読売新聞朝刊一面を飾ってました
マスコミはまだこの事例で戦うつもりなんでしょうか?


確かに個人情報保護の観点から見れば問題があったかもしれませんが
カルテのコピーは遺族の意思でマスコミ等に公開されてます
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-183.html


また看護記録等の情報は患者の親族に当たる人が元婦長とかで
独自入手した資料をマスコミにリークしています
http://d.hatena.ne.jp/reservoir/20070429


これらの情報を元に有志たちがネット上での議論を重ねた事が「流出」と言われているようですね
医学会は一次資料を元に議論することが常ですので問題ないとする風潮が強いです


そもそもこの議論は
マスコミが「6時間放置」や「たらいまわし」というねつ造・誤報を発信したためにおこったものですよね
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610170022.html
朝日新聞「6時間放置」)
  ↓
http://megalodon.jp/?url=http://news.tbs.co.jp/top_news/top_news3550569.html&date=20070429093658
TBS「1時間半放置」
  ↓
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2007/04/21/20070421ddm010040163000c.html
毎日新聞デスク「遺族から見れば結果的に放置」(放置はしてないと認識している)「たらしまわしは間違い、ゴメン」


遺族やマスコミの一方的な報道を鵜呑みにして、医師側の反論を許さないというのは言論の自由に反すると思うのですがどうでしょうか?


当初は医師を悪者にして報道し、刑事告訴も考えていたようですが立件できなかったようで
それでこのような「守秘義務違反」という矛先を変えた追及になったようです
http://www.yabelab.net/blog/2007/03/07-173701.php


ただ、この告訴により「医師側の資料の正当性を裏付ける事になった」事は興味深いですね


面白いのは、この記事が出る前日(28日土曜日)に大阪で
「「産科医療」の事故・裁判・質・システムを考えるシンポジウム」というのが開かれたんですが
(この事例で死亡した患者さんの旦那も出席されてます)
そこの主催に「医療情報の公開・開示を求める市民の会」というのがあるそうです
http://blog.m3.com/case-report-by-ERP/20070429/1


医療情報の開示と流出はどこか違うのかな?かな?
原告側に有利な情報か不利な情報かの違いですかそうですか


医者をいじめても、困るのは患者だという事をこの人たちは気付かないんだろうか?
「良いことをしている」と思えば何をしてもいいのかね、まったく・・・



結局、この事例をいつまでも引きずっても誰も得をしないんですよ
既に奈良県南部の救急医療は危機的状況を通り過ぎて「病院がない」状態なんだそうな
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/04/45_a4c9.html



兵庫県も壊滅的状況らしいです
しかもこんな判決が出るんじゃどうしようもないね
http://plaza.rakuten.co.jp/tinyant/diary/200704250000/


こんな記事も・・・
http://blog.m3.com/pediatrician/20070428/1
患者が自殺したら医療事故?