sidewalkcafe blog

日々是好日

雪の峠・剣の舞:岩明 均

 寄生獣が有名な岩明さんの歴史短編集(2編)

「雪の峠」
 江戸初期・出羽国秋田県の辺りらしい)において佐竹家の府(都・今で言う県庁所在地)の決議にまつわる物語。
 近習頭の渋江内膳と梶原美濃守との対立、上杉謙信の話など。
 戦国の歴史ものとは違い、策士同志の対立といった感じ。
 ちなみに表紙の絵は上杉謙信

「剣の舞」
 戦国時代・新陰流の祖、上泉伊勢守の弟子・疋田文五郎と、文五郎の押しかけ弟子春之助の物語。
 竹刀剣術の考案者である師の上泉に言われ、弟子の稽古をつける文五郎。
 後に柳生新陰流柳生新陰流というのは俗称らしい)の誕生にも繋がるお話である。

 純粋な歴史ものとはちょっと違う、歴史の少しマイナーな部分を紹介してる感じ。だが読み物としては悪くない。好き嫌いはあるだろうが、何度も読み返してみたくなる不思議な魅力がある。

 井上雄彦の漫画「バガボンド」で、この作品にも出てくる柳生石舟斎宮本武蔵と比べても、格段に強い剣客として描かれてたが。(もっとも、既に老人となっていた)疋田文五郎に3本勝負ですべて取られてる所を見ただけでも、彼・また彼の師匠である上泉伊勢守の強さが伺われる。
 時代が近いので、もしかしたら出会ったであろう剣の達人同士。その時に天下一は、もしかしたら疋田文五郎の名が刻まれていたかも知れない・・・。

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス アフタヌーン) 
オススメ度   ★★★
新陰流天下一度 ★★★★
あなたの知らない歴史度
        ★★★★