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日々是好日

秘剣 花車:戸部新十郎

 前に言った通り(id:sidewalk:20041222)買ってきましたよ、と
疋田文五郎を書いた数少ない小説
これは短編集だけどね^^;
東西の剣豪〜戦国から江戸末期まで〜の「秘剣」にスポットを当て、10話を収録
表題の「花車」は剣聖上泉伊勢守の高弟、神後流(神後新陰流)の創始者、神後宗治の物語

この中の「栴檀」が文五郎のお話
「撓(しない)」を持っていれば喜ぶ、と撓剣術の考案者上泉伊勢守が評した程の剣術好きの文五郎
伊勢守の知人、細川藤孝の元を訪ねた時も諸国漫遊の帰りでした
この人良く剣術修行の旅に出てるようで、細川藤孝に仕える事になった後も
藤孝が子供に家督を継がせた後、ふらりと旅に出てしまいます
帰ってきたら誰某と戦ったとか、どうやって勝ったとか報告しようとしますが
主人はそんな話、聞く耳を持たず仕方なく書面にて報告(勿論放置される)
しかも、報告書の中は「せんだんにて勝つ」と、他人が見ても良く解らない技名しか載っておらず、その「せんだん」とは何か・・・

まぁこんな感じの粗筋です
文五郎は細川家に仕えた後に、大阪にて没とありますが
どうやら豊臣方についたようですねぇ
没年は1605年(?)とあるから、大阪の陣の前らしいけどどうなんだろう・・・
同じ短編集の中に、文五郎の弟子として豊臣方の首魁、宮本武蔵守という人も出てきたり
宮本武蔵とは別人?でも二刀だし・・・よーわからん

 晩年も剣勢衰える事なく、栖雲斎と名乗り撓を振り続けたとか
師伊勢守の教えを守り、相手から一本取った後に相手の悪い所を指摘して直してやったり
自身の剣技を惜し気もなく披露したり
だけど名声には興味がなかったり
愛すべき剣豪なんですねぇ

秘剣 花車 (新潮文庫)

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